※以下ネタバレ少しあります!これからご覧になる方はご注意ください!!!


6月3日(日)11時公演を観てきました。

トウコちゃんが辞めてから星組を観るのは初めて。つまり柚希さんトップ公演を観るのはこれが初めてです。別に柚希さんが嫌いなわけではなく、単純に「滋賀から宝塚に通うのは限界がある」ため、霧矢さんや音月さんが優先されていただけ。

霧矢さんも退団、音月さんも次回公演で退団が発表され、「うわー、どーすんだ、私」ということで、「星組一回観とこう」(笑)。

お芝居が正塚先生というのも大きかった。

『銀の狼』『メランコリック・ジゴロ』、そして『BLUFF』……って、古いなぁ(笑)。

もう生徒さんは専科さんとトップさんしかわからないぐらいなので、「正塚先生だから観よう」とか「中村一徳先生のショーなら観て損はなかろう」とか、そういう観劇になってしまっています。

私がよく観ていた頃(80年代後半から90年代前半)、正塚先生はまだ「若手」の新進気鋭の演出家というイメージだったのですけど、もうすっかりベテランですよね。プログラムのお写真も「老けたな」って……いや、すいません、先生。

それだけ私も老けてるってことですもんね。ははは。

んで。

『ダンサ・セレナータ』。

良かったです。

正塚節全開。

正塚先生の作品、セリフがいいんですよねぇ。なんというか、「行間を読む」というのかなぁ。ぽんぽんとした掛け合い。ストレートには言わないけどその掛け合いの中に心情が詰まってる感じ。

大人っぽくて粋で。

主人公の男がやたら格好良くて。

柚希さん演じるイサアクはダンスホールのトップダンサー。ショーの演出等も任されるほどの、かなり「ワンマン」な、押しの強い、そして「裏世界」にも通じている、いわゆる「脛に傷持つ」悪の要素も持ったいい男。

かつて付き合っていた相手役のダンサー・アンジェリータから「優しいつもり?でもその優しさは自分の範囲内だけ。結局あんたは自分にしか興味がないのよ。だからあんたに惚れた女はボロボロになる」なんて言われるような。(セリフはうろ覚え。正確ではありませんのでご承知おきください)

「別れてよかった。別れてみれば、あんたの生き方も素敵に思えてきたところだったけど」とか言うアンジェリータのキャラクターがまた良かったなぁ。

昔の星組なら洲悠花さんがやったであろうような、バーンと強烈な、「大人の女」。

アンジェリータ役の白華れみさん、今どき珍しいこういう役がぴったりハマる演技派だな、いいな、と思ったらこれで退団らしく。

なんともったいない。

こーゆー「バーンとした女役」さん、貴重なのにね。

ヒロイン・モニカの夢咲ねねさんもなんとなく「どーん」とした雰囲気で、ちょっと風花舞ちゃんを連想したけど、お芝居では黒塗りだったせいかショーになったら顔がわからなくて……。

人の顔が覚えられないの、年かしら……。

「黒塗り」というか、南米系の設定ぽかったモニカとその兄アンジェロ(アンジェリータと紛らわしいので違う名前にしてほしかった)。お話の舞台は明らかにされてはいないものの、「植民地で独立運動が起きているヨーロッパの国」。

音楽にファドが使われているところからしてイサアク達がいるのはポルトガルで、モニカはブラジルの人間……だったのかな?

モニカの兄は祖国独立のために働く活動家で、秘密警察に目をつけられ、モニカも訊問され、かつて裏世界でぶいぶいいわしたことのあるイサアクは彼女を助け――。

秘密警察の将校ホアキン役、紅ゆずるさん。

ちょっと仮面ライダーを連想するお名前ですが(それは紅渡(笑))。

秘密警察だし、主人公にとっては敵役になる立場のいわゆる「おいしい役」で、なかなか格好良かったです。最後彼が悲劇を起こすのかと思ったらそうはならなくて……そこがまた「いい役」だったな。

独立運動が成就して政権が倒れたら、「仕事」じゃなくなる。それまでずっと「これが俺の仕事だから」って言ってきたんだもんね。

白華さんと同じくこれで退団する涼さんはダンスホールのバーテンダー・ジョゼ。

アンジェリータに惚れていて、イサアクやモニカのことを見守ってラストシーンを演出する人物ではあるけど、退団公演にしては地味な役だったような。

ショーでは出番多かったけど。

涼さんってシメさん(紫苑ゆう)の愛弟子さんですよねぇ。なんというかこう、古き良き時代の男役さんの雰囲気があって、これまた退団が残念。

イサアクの仲間のダンサー・ルイス役の真風さん。新人公演ではイサアク役をやるようで、ということはまさに新進気鋭の男役さん。コミカルなルイスをなかなかうまく演じていました。

独立運動やら「大人の恋模様」なお話の中にルイスのエピソードを織り込むことでうまくバランスを取るところがさすが正塚先生。

「あの子どう思う?」「どっちの子?」「決まってるだろ」とか、「惚れたのか、あの娘に」「それを今確かめてる」とか、正塚先生の書くセリフほんといいわ♪

最後の「もう、一人で踊るな」とかね。

どんな顔して書いてるんだー、先生(笑)。

宝塚の男役は歯が浮いてなんぼ(爆)。また柚希さんが実に格好良くこの「現実にはありえないほどのいい男」を演じてくれちゃって。最初と最後の「ヒゲ」も素敵でした。

人気あるのわかるわ。

立ち見出てたもんね。

立ち見なんて久しぶりに見た。私が足繁く通っていた頃はけっこうあったし、私自身立ち見で見たこともあったけど……。

ショー『Celebrity』もなかなか楽しかった。宝石モチーフの中詰めとか、昔の「ゴージャス星組」を思わせるような。


(↑ショーの開演前に舞台に投影されていた映像)

第6場Aで歌ってた若い男役の子がすごい歌うまかったんだけど、誰だったんだろう。プログラムを見ても「歌手」と書いてない。ググってみたら「礼真琴」さんのようだ。

2009年初舞台ってことはやっと研4!? 音楽学校は首席で卒業か。なるほど。覚えておこう。

次の星組大劇場は久々の日本物ショーらしく。

また観に行かねばなりますまい。