引き続き、『新解さんリターンズ』もあっという間に読んでしまいました。
やはり面白さという意味では『新解さんの読み方』の方がパンチがあって上だと思います。どちらか一冊ということなら、『読み方』の方がオススメ。

第6版の刊行を機に、5版以前との違いを主に取り上げる『リターンズ』。
「美少女」という言葉が、6版になって初めて出てきたそうです。「美少年」は初版から載っていたらしい。
なんか、やっぱり、と思ったりして(笑)。
「美少年」の方が社会的認知度が上なんでしょう。
だってもう紀元前のギリシア文明から美少年趣味はあるわけで、日本だって平安の昔から……ですからね。

もちろん少女だって美しい方がいいに決まってるだろうけど、14歳や15歳で人妻になって子どもを生んでいた昔、そもそも「少女」である期間がとても短かったと思う。

しかし、初版から載っていた「美少年」。
考えてみれば、読んで字のごとく「美しい少年」でわかるわけで、何も項目としてわざわざ立てる必要もないようなものです。用例に「紅顔の美少年」というのがあるから、「紅顔」を説明するために必要だったのでしょうか。
「紅顔」の方の用例も「紅顔の美少年」です。

「美少年」の語釈が「顔かたち・姿の美しい少年」とそのままであるのに比べ、「美少女」には「〔アイドルとしてもてはやされる〕姿かたちのきわだって美しい少女」と〔 〕書きが付いています。
「きわだって」美しくないと美少女とは呼んでもらえないらしい。
そしてアイドルにならないと美少女ではないらしい。
でも確かに「美少年」と「美少女」にはそーゆー語感の違いがあるような気がする。

ちなみに「美男」「美女」の語釈はどちらも似たようなものですが、「美女」には反対語として「醜女」が載っており、「美男」に反対語はありません。「ぶおとこ(ひらがなで載ってる)」はちゃんと項目としてあるのに、なぜ反対語表示がないのでしょうか。

「美青年」は載っていませんでした。
人は何歳まで「美少年」なのか?
私の感覚では18歳ぐらい?
その後30前ぐらいまでが「美青年」かな。
「美青年」と対になって「女」を表す言葉はないのだけど、そもそも「青年」という言葉に対する女性語がない。
「青年」の語釈には特に「男」とは書いていないのだけど、普通「青年」と聞いたら男を思い浮かべるよね?
「女」は「子ども」でなければ十把一絡げで「女」なのです。それは女性の社会的立場が弱かったからだろうと思いますが、しかし幼稚園児でも確かに立派に「女」だったりはすることを考えると、分けなくてもいいのかもしれない。

最後に「稚児」。
語釈の二番目に「男色の相手役としての少年」と書いてあるのだけど、その用例が「よか稚児」となぜか九州方言になっている。(「よか」という項目がちゃんとあって、そこの用例も「よか稚児」……)
なんとなく、でっぷりと貫禄のあるおじさんがきれいな男の子に酌をさせながら「よかよか」と目を細めている様子が目に浮かびます。
妙に実感は伝わるけれど、「よか稚児」って全然用例じゃないような気もする。なんで「よか稚児」なの、新解さん!?