昨夜、7時のニュースに引き続き、『クローズアップ現代』を見るともなく見ていたのである。
なんだか私ってNHKの回し者みたいだけど、別になんにも貰ってはいません。それどころか払ってます(笑)。

昨日のテーマは「あなたの敬語は大丈夫?〜新しい指針の背景〜」というものだった。
社会言語学専攻(一応)だった私としては、気になるテーマである。でもいつものクローズアップ現代よりは切り口がぼーっとしていて、あまり目新しい話ではなかった。

「1000円からお預かりします」「〜でよろしかったでしょうか?」という、いわゆる「マニュアル敬語」の話とか、この「とか」「みたいな」「って感じ」etc.の「ぼかし敬語」の話とか。

「尊敬語」「謙譲語」というのは「上下関係」を基本としてできていたけど、その「上下」が崩れてしまったので、敬語が混乱している。「上下」ではなく「横」の関係で言葉を模索していく時代になった……というような結論。

ゲストは井上ひさしだったが、橋本治さん呼んでくればよかったのにな。もう2年も前に『ちゃんと話すための敬語の本』を書いてくれてるのに。

これはちくまプリマー新書、という中・高校生をターゲットとして創刊された新書の記念すべき1冊目だった。
とても読みやすくて、とてもわかりやすい。
あっという間に読めるけど、もちろん橋本さんの本だから、内容はとっても深い。

是非手にとって読んでほしいけど、「敬語」というのは「人と人の間の距離をはっきりさせるもの」だということ。
そして、たとえば日本語には「YOU」に相当する言葉がたくさんあるけれども、「全部YOUで済んだら楽なのに」日本語ではいちいち「その相手と自分の距離はどうか。どういう言葉を使うのが適当か」を考えなければならない。
そうやって、「人はそれぞれに違うから、その違う相手とどう接すればいいか考えなさい」ということを要求する日本語は、その代わりとても「豊かな表現」を持っているのだ、ってこと。

「敬語」のみならず、人と人との関係、円滑なコミュニケーションを考えるうえで、とてもためになる本だと思います。