そんなわけで、『ルバイヤート』です。
私の持っている岩波文庫版は画像がなかった。寂しい。
(2012/02/21 リンクを差し替えました。画像出てるよ~ん♪)

この小川亮作さん訳の岩波文庫を読んで感動して、友達に吹聴したら、友達が「え〜、あれ全然面白くなかったよ」と彼女の持っている版を見せてくれたことがあった。
それは訳が違って、すごく美文調で、何が言いたいのかよくわからない日本語で、もし最初にそっちを読んでいたら、私も「面白くない」と思っていたかもしれない。

訳って重要だ、と改めて思ったエピソード。
なので、私がお勧めするのはあくまでも岩波文庫版の『ルバイヤート』です。

高3の、受験生の時に読んだ、と思っていたのに、本の奥付を見たら、大学入学後に買ったものらしい。
すごく感動した割には記憶がいい加減……。

オマル・ハイヤームは11世紀ペルシアの人。
色々な学問に秀でた、万能の学者だったらしい。
そして哲学者としては「イスラム哲学史上最も鮮明な唯物主義無神思想家」なのだとか。
あの「イスラム教」の地に、「無神思想家」というものが存在し得るのか?と驚いてしまうが、そんなよけいな知識はともかく。

重要なのは彼の「詩」である。

あ、肝心なことを言い忘れてた。
「ルバイヤート」というのは「四行詩集」という意味なのだ。

「詩の解釈」というのは不毛なものだから、読んでください、と言うしかないけれど、私の好きなのをいくつか挙げてみると。

「創世の神秘は君も我も知らない
 その謎は君や我には解けない
 何を言い合おうと幕の外のこと
 その幕が降りたら我等は形もない」(7)


「我等の後にも世は永遠に続くよ、ああ!
 我等は影も形もなく消えるよ、ああ!
 来なかったとて何の不足があろう?
 行くからとて何の変わりもないよ、ああ!」(51)


11世紀だから、もはや一千年近く昔の人である。
そーゆー昔に、遠いペルシャの地で、自分と同じように「死すべき生」を嘆いていた人がいたんだなぁ、と思うととても嬉しかった。
この人とは友達になれる、と思ったりした。

「さあ、一緒にあすの日の悲しみを忘れよう
 ただ一瞬のこの人生をとらえよう
 あしたこの古びた修道院を出て行ったら
 七千年前の旅人と道伴れになろう」(130)


きっと、オマルさんとは道連れになれる。