(※以下ネタバレあります。これからご覧になる方はご注意ください)

◆これまでの感想記事はこちら→『Ⅰ 青い瞳のキャスバル』『Ⅱ 哀しみのアルテイシア~』『Ⅲ 暁の蜂起』『Ⅳ 運命の前夜』『Ⅴ 激突 ルウム会戦』

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はい、また京都まで遠征して観てきました。正直だいぶ面倒くさくなってたりもしましたが、5作目まで観て最後を観ないわけにもいきません。

感想は……。

マ・クベがすごくマ・クベでした!

すごく塩沢さんぽくてびっくりしました。ググったらマ・クベ役の山崎たくみさん、生前の塩沢さんと親交があられ、J9シリーズ(ゲーム)等でも塩沢さんの後継を務められているらしく。

素晴らしかったです!

あとは――。

戦争

戦争が主役でした。

5作目観た時も、コロニー落としのために毒ガスで殺される人々とか、なんかよくわかんないうちに戦争始まって、よくわかんないまま殺される、「ああ、戦争ってこうなんだろうな」と思わされたし、「戦争はしかし、始まったばかりだった」というナレーションに「うわぁ……」ってなったんだけど。

今回も、「始まってしまった戦争はそう簡単に終わらない」んだなぁと。

ってゆーかこれ、レビルが一番悪くない?

デギン陛下が「バキッ」と電話だか無線機だかを壊して「レビルめ……!」ってなるところ、私も「おのれレビル……」ってなったもん。

いや、まぁ、デギン陛下が甘すぎると言えばそうなんですけどね。捕虜になっていたレビルを逃がしてやったところで、デギンの思う通り行動してくれる保証は何もない。「この戦争はやめなければなりません」ってレビルも言いはしたけど、「今すぐやめなければ」とは言ってないし、そもそも捕虜として敵の頭領と喋ってる言葉のどこまでが本心か……。

デギン陛下、東都の首相(※わからない人は仮面ライダービルドを見よう)並に人がいいよね。

まぁ仮にレビルもいい人で、デギンの意を汲んで休戦を訴えてくれたとしても、他の人たちに戦争をやめる気がさらさらないわけだから、休戦条約が結ばれたところですぐに破棄されたのかもしれない。

すごくマ・クベなマ・クベ様が全権大使として派遣された休戦交渉の場。マ・クベを送ったのはキシリア様で、キシリア様はデギンに「キシリアがついております」って言って、レビルを逃がしたのもキシリアの手の者なんだろうな、と思うんだけど、でもキシリアは「戦争は続行されなければなりません!」ってマ・クベに言ってて……。

ふぉーん。大人たちの考えること、よくわかんないよ(´Д`)

ギレンも戦争めっちゃ続けたい派やん? そのギレンを止められるのはきっとおまえだけだ、ってデギン様言うわけやん? そんでキシリア様「合点承知」で、わざわざマ・クベにまで「うち、ギレンのこと嫌いやねん」って告白して、でも戦争続行の部分はギレンと同意見なん?

なんで?

戦争続けるとキシリア様的にどういいの???

連邦的には「ここで休戦するのは休戦じゃない、降伏だ」ってなるのわかるんだけど。

ギレンにしてもキシリアにしても、ジオン公国を認めてもらうだけじゃ足りない、私をそんな小物と思わないでもらいたい、ってことなんかなー。

「こんな戦争さっさと終わらせるべき」って思ってるの、デギン陛下だけなんだもんね。そしてデギンだって、「休戦に応じるからジオン公国なんてやめろよ、自治は認めてやらないこともないから」とか言われたらちゃぶ台ひっくり返すんだろう。

いったん始まっちゃったら簡単に終われないのが戦争で、だからほんと、戦争なんか始めちゃダメなんだ、って、レビルの演説聞きながら思いました。

最後、そのレビルの演説を、サイド7へ向かうセイラさんや、カイさんも聞いてて。

セイラさん、原作ではヤシマ氏(ミライさんのパパ)を頼ってサイド7へ行くみたいな描写だったけど、映画では病院長っぽい人から「サイド7へ行ってみたら?」って言われてた。

セイラさんとシャア(というかエドワウ=キャスバル)はもともとサイド5のテキサスコロニーにいて、で、シャアがジオン軍に行ってしまった後、セイラさんはサイド5の首都バンチ・ミランダの病院で看護士やってるような感じだったんですね。

「ルウム戦役」の“ルウム”はサイド5のことで、ジオンの勢力下に入ったサイド5に留まることのできないダイクンの遺児セイラさんは、「ならサイド7に行ってみたら? あそこ無医村状態だし」と勧められるのです。

テアボロさんが生きていたら、テアボロさんのために危険を冒してサイド5に居続けることもあったかもしれないけど……。セイラさん、本当に孤児になってしまったんだもんね。

「行きます、サイド7へ!」と宣言するセイラさん。

ちょっと、大げさなぐらいの答え方なんだけど、これ――このセリフ、「そして“ガンダム”が始まる」っていう象徴なんだろうな。

ミライさん父娘もサイド7にやってきていて、ミライさん、お父さんから「第一志望はカムランか?」とかからかわれて赤面してた。

すでにサイド7にいるフラウは水遊び中。カイはそのそばで寝転んでレビルの演説を聴き、通りすがったハヤトは子ども達(カツ・レツ・キッカ)に無理矢理水の中に引き込まれる。

そしてアムロは。

アムロも通りすがって、フラウに「一緒に水浴びしようよ!」って声かけられるんだけど、暗~い思い詰めたような顔してプイッと遠ざかっていく。

そのシーンより前に、アムロは「ガンダムって何です!?」って軍の施設に乗り込んで行って、あげく自宅をガサ入れされ、部屋の中の一切合切を持ってかれちゃってるんですよね。

原作にはないエピソードのような気がするけど(今回の映画はおおむね原作14巻の内容が映像化されてます)、別の巻にあったりする???

アムロがいじってたコンピュータだけでなく、家具調度まで全部なくなってたけど、アムロ、あの後どうやって生活してるんだろ……。すっからかんにされたのはアムロの部屋だけだとしても……。

でもこうしてみんながサイド7に集まってきて、それぞれの傍らに「ホワイトベースに乗艦云々」ってテロップが出るとホント、「ああ、ガンダムが始まるんだ」ってドキドキしますね。

シャアもドズルから「連邦のV作戦とやらを阻止せよ」と命令を受けているし、エンドクレジットの後にはサイド7へ向かうホワイトベースのシーン。

すべての糸がサイド7に集まってくる。

ガンダムが、1stの世界が、始まる――!

むしろ今回が「運命の前夜」って感じがしました。赤い彗星はもう前作の「私にひざまずけ!神よ!」で誕生しちゃってる気がするし、前作と今作は本当に「ルウム戦役を描く映画」で、必ずしもシャアは主役じゃない。

シャアもまた、戦争という大波に翻弄される駒、あるいは戦争という大波を構成する小さな波の一つにすぎない。

ガルマがシャアに、「ぼくには無理だと、今そう思ったな!?」と勝手にキレるシーン面白かったし(ガルマってかなり情緒不安定だよね(^^;))、シャアとドレンさんとのやりとりも楽しかったけど。

「私は大宇宙の戦士だ。どんな艦(ふね)よりも速く、自由に天(あま)かける戦士だ」とか言い出したシャアに、「え、何、この人、厨二?」って表情で引いてるドレンさんすごく好き(笑)。

そのドレンさんと自艦の訓練するはずが、レビル将軍がこっそり逃げようとしてる艦(ふね)に出っくわしちゃって……のシーンも一つ見せ場ではあった。

レビルの姿を認めた時点でシャアは全部察しちゃうんだけど――「あやうく最高の政治ショーをだいなしにするところだった」って、やっぱりシャアも、「これはまだまだ戦争を続けるための策」だとすぐ理解したってことなんだよね?

それが休戦のためになる、って思ったの、デギン陛下だけ……。

ミライさんパパの言うとおり、「なんだかんだみんな戦争がしたい」んでしょうね……。

 
冒頭の艦隊戦、そしてそこへ割り込んで圧倒的な機動性で連邦軍を叩くモビルスーツ。その映像は圧巻で、うぉぉ、と思います。

あ、そうだ、そこにリュウさんも出てくるんだよね。

偵察機に乗ってて、いきなりジオン艦隊に遭遇しちゃって宇宙空間に放り出され、「あっという間に人は死んで、ゴミになる…」

あの後無事連邦の艦に救助されたんだろうけど(でないとホワイトベースに乗り込めない)、よくあそこで死ななかったなぁ、と。

途中だから、リュウさんにはフラウ達みたいにテロップが出ないのが少し残念でした。カツ・レツ・キッカにもテロップ出てほしかったなー。

えーっとそれから、マ・クベが美術館だか博物館だかで「これも贋作だ」つって館長(?)を嘆かせてるシーン、どう見てもローマじゃないのに「ローマ時代の仮面劇に使われたといわれるもの」って説明して、さらに般若の面を「それもローマ」っていうの面白かった。

原作通りなんだけど、アニメで見るとさらに楽しい。

ガルマがドズルに「ぼくも前線に出たい!」って直談判するシーン、原作では軍の執務室みたいなとこなんだけど映画ではドズルの家らしく、隣にミネバを抱いたゼナさんがいて、ゼナさんが「あなた、便宜をはかっておやりなさいな」って感じでドズルの腕をツンツンして、それで「ギレン兄に話してみよう」になる。

ガルマの剣幕にミネバがぐずってるし、ゼナさん的には「さっさと帰ってほしい」だったんだろうなぁ。

あのシーン、ザビ家の生き残りとして宇宙世紀のガンダムを繋ぐことになるミネバをどっかに出したい、っていうスタッフの思いもあったのかな。

エンディング、クレジットとともに「HOLLYWOODをバックにしたガルマ様」とか、「さぁみんな位置についたぞ!」みたいなカットが流れてわくわくするんだけど、でも歌が山崎まさよしで、「え…」ってなりました。

歌自体は悪くないし山崎まさよしが嫌いなわけでもないけど、宇宙世紀からいきなり現代日本に引き戻される感じで……。なんで山崎まさよし、と思わずには。

【エンディングテーマこちら】


クレジットの後、前述した通りホワイトベースのシーン。あああ、ブライトさぁぁぁぁん! 成田剣さんもすごくブライトさんだよね。セリフが少なくて寂しい。

ホワイトベースにはテム・レイが乗っていて、ついにガンダムが完成したぞ、ってアムロの写真に語りかける。

ガンダムという言葉と、アムロの姿で映画は終わる。そして

「ここから“ガンダム”が始まる」という英語テロップと、「君は生きのびることができるか」のナレーション。

ああああああああ、始まって! 続けて「翔べ!ガンダム」始まって!

みんなが位置についただけでスタートしないとかぁぁぁっっっ。


でも本当は、ここで終わっておくべきだったんだよなぁ、戦争……。