※以下ネタバレあります!これからご覧になる方はご注意下さい!


『仮面ライダーデューク/ナックル』を借りるついでに『仮面ライダー4号』も借りてきました。

『スーパーヒーロー大戦GP仮面ライダー3号』のおまけでついていた『仮面ライダー4号』第1話のDVD。続きが非常に気になったもののdビデオでの有料配信だったのでそのまま放置すること1年……。

そーよね、『仮面ライダー3号』って2015年の春休み映画だったわけだから、もう1年以上経ってます。全3話を収録したDVDも2015年の9月に発売されていて、11月発売だった『デューク/ナックル』よりさらに「今さら」(^^;)

しかし今さらでも観てよかった。最後の種明かしには「んんん?どーゆーこと???」ってなったけど、コンセプト的にはとても好きなタイプのお話。

何しろ時間ループです。

第1話では時間がループしまくって、映画『仮面ライダー3号』で死んだまま復活しなかった剛ちゃんがさらに2回も死んじゃいます。

ほんまなー、あの映画での「剛ちゃんだけ元に戻らなかった」っていうの、私も息子ちゃんも大ブーイングだったけど、さらに2回も殺される剛ちゃん可哀想すぎる。(第2話でもっぺん死ぬし、都合4回も殺される剛ちゃん(´Д`))

剛ちゃんってほんと、テレビシリーズ本編でも父親という宿命を背負わされ精神的に何度も追い詰められて……さらに遺影やらお墓まで……。「あれは嘘の歴史」と言われてもやっぱり嫌すぎる。

で、『3号』で死んだままになった剛ちゃん、『4号』世界では生きています。4月4日の朝9時55分、特状課の机で寝てしまっていた進之介は霧子からの電話で起こされ、「もう!何やってんですか!映画始まっちゃいますよ!」と怒られます。

その日は進之介も霧子も非番で、剛ちゃんと3人で映画を観る約束になっていた。

映画は「マーマーマンション」。テレビシリーズで究ちゃんがぬいぐるみを持っていたあの有名なアニメがついに劇場版に!

すっかり遅刻の進之介を放って霧子と剛ちゃんは二人で映画、そして進之介のもとには『555』のたっくん(乾巧)と『電王』の侑斗が「大変だ!ショッカーが暴れてる!」と駆け込んできます。

3人でショッカーの相手をしているところに剛ちゃんも合流し、「仮面ライダーマッ(溜め) ハーっ!」と派手に変身。侑斗に「派手だな、毎回やってんのか」とツッコまれてました。うぷぷ。

無事怪人を倒した、と変身を解いたところでやられてしまう剛ちゃん。

剛ちゃーーーーーん!

が、しかし。

ここで時間が巻き戻り、再び進之介は特状課の机で目を覚まします。デジタル時計の表示は再び4月4日の午前9時55分。映画に間に合わない進之介、再び駆け込んでくるたっくんと侑斗。

「あれ?なんかこの状況前にも……」

と思いながらもそのまま繰り返してやっぱり剛ちゃんが死に、また4月4日に戻って……。

仮面ライダー4号はまだ改造中のまま第1話は終了。作品タイトルは「4号」なんだけど、実は4号は主役でも何でもなくて、ただ強敵として出て来るだけなのです。歴史改変でライダーマンが強くなったとか、「正体はまさかのあの人で時間のくり返しを起こしていたのも4号!」とかそーゆーのじゃ全然なかった。

ライダーではなくスカイサイクロンという戦闘機(プロペラ機)乗りで、見た感じも飛行服着てるっぽい感じで、松岡充さんがノリノリで悪い仮面ライダーを演じてらっしゃいます(声だけね)。

歴史改変マシンでエターナル(大道克己)が蘇った……でも面白かったのになぁ。まぁ25分×3話ぐらいの尺ではそこまでできませんよね。時間のくり返しに気付くだけで1話終わっちゃうのに……。

時間がリセットされて4月4日に戻るたび記憶もリセットされるのですが、しだいに「あれ?」と気付くようになり、特に進之介はベルトさんに自分のバイタルチェックデータを保存しておいてもらうことで「さっき死んだばかり」という確証を得ます。

記憶はリセットされるがデータはリセットされないのか……。それって「時間が戻ってる」のとは違うような気がしなくもない……。

一旦「くり返し」に気付くと他のメンバーも記憶を保てるようになり、「このループから抜け出すにはどうしたらいいのか」とみんなで対策を練ることに。

侑斗がいるのでゼロライナーで時間を遡り、どこがくり返しの起点になっているのか探ることができます。便利だな-、ゼロライナー。てか起点はあの4月4日9時55分じゃないの? 常にあそこに戻るんだけど。

ゼロライナー的な起点は「3号映画」でマッハが死んでしまったところ。つまり、剛ちゃんの死を受け入れられない霧子の強い想いが壊れたはずの歴史改変マシンを動かしているのでは。

「じゃあ俺が死ねばいいんだろ?」と言う剛ちゃん。「世界を守って格好良く死ぬってのも悪くない」とうそぶく剛ちゃんに、「馬鹿馬鹿しい!本気で格好いいと思ってんのか?おまえは満足かもしれないがな、残された奴はどーすんだよ!」と返すたっくん。

そーだよね。たっくんも木場さんや草加くんの死を抱えているから……。
(木場さん役の泉さん本当に亡くなってしまって……。草加くんはジュウオウジャーの鳥男にめでたく転生してますが)

「木場、草加、みんな、おまえたちならどうする?」っていうたっくんのセリフにうるうるする間もなく「俺だったら首はつっこまない!」と即答するまさかの海堂さん。1話の最後にちらっと出てきてわけ知りなふうを匂わせていた海堂さん、いい味出してるわぁ。海堂さんとたっくんのやりとりだけで『555』ファンは十分見る甲斐あると思います。

3話目で進之介達に「あんた誰?」って聞かれて「なこと説明してる尺はないんだよ!」って答えるのも楽しい。「時間」じゃなくて「尺がない」ってところがもう。

時間改変マシンを動かしていた「強い想い」の持ち主は霧子ではなくたっくんだったんだよね。そのことを知っている海堂さんは「乾巧を放っておいてやってくれ。あいつはもう、十分戦ったの」って進之介達に言う。

世界を救うために命を懸ける。それはライダーなら誰でも同じ。

その覚悟があるのはいい。

「あるのはいいんだ。でもそれで実際に死んじまうのは大違いなんだよ!」

ううっ、泣けるわ。海堂さん。

オルフェノクでたった一人生き残ってしまった海堂さんにとって、木場さんや仲間が死んだことは悲劇でしかない。「あいつらの死に意味なんかあったのか。せめておまえにだけは生きていてほしいんだ」とたっくんに訴える海堂さん。

この物語の主役って実は海堂さんなのでは。

ってゆーか歴史改変マシンを動かしてるの、海堂さんの「たっくんに生きていてほしい」っていう想いなんじゃないの?

ショッカー首領の正体は「もう一人の乾巧」ってことになってて、そいつのアクセルメモリのカウントダウンで時間がリセットされる。

もう一人を倒せば――アクセルメモリを壊して歴史改変マシンを破壊すれば、ループは止まり、3号映画のラストとは違う「本当の元の世界」(つまり剛ちゃんも生きてる世界)に戻る。

でも、たっくんは消えてしまう。

『555』テレビシリーズの最後でたっくんは死んではいない。「もう長くない」とほのめかされるだけ。

でもこの作品でははっきり死んだことになってる。たっくん自身が「あのとき笑って死んだ自分に嘘をつきたくない」と言うし、たっくんを思いとどまらせようとする海堂さんの必死さも、「せっかく生き返ったのにどうして」というところにある。

つまり、『3号』映画内のたっくんは歴史改変によって生き返っているだけで、「元の世界」に戻すと3号黒井と同じように消えてしまうと……。

『3号』見た時「たっくんの立ち位置がよくわからない」「侑斗だけでいいんじゃ」と思ったんだけど、たっくんはこの『4号』作品を作るためにいたのね。

歴史改変によって生き返っていたたっくんの想いが、破壊されたはずの歴史改変マシンを再び作動させ、誰かが死ぬたびに時間をリセットしていた。

うーん、それはいいんだけど、でもなぜショッカーの首領? 時間が繰り返すたびショッカーが力を増すのはなんで? そうしてライダーが倒されれば倒されるほど時間を繰り返せるから? 「元の世界」に戻ることを拒否するということは結局ショッカーの世界を待望するということだから?????

「もう一人のたっくん」はホログラフみたいな感じでなんか青い蝶々みたいのをたくさん発散してるんだけど……そう言えばスマートブレインのスマートレディが蝶々飛ばしてましたっけ?

ショッカー首領であるもう一人の自分を見て「そういうことか」と言うたっくん、何が「そういうこと」なのか教えてくれ~。

たっくんは自分を犠牲にして世界を元に戻す。

特状課の机で目を覚ました進之介の時間は4月5日の午前9時55分。

4日ではないんだよなー。

霧子と剛ちゃんと映画の約束をしているのは同じ。慌てて駆けつける進之介を待って映画を見損ねるところが違うし、霧子の衣裳も違う。

ループする時間の中でみんなで撮った写真からは、たっくんの姿が消えていて。

たっくん……。

記憶はリセットされ、誰もたっくんのことを覚えていない。海堂さんを除いては。

なんで海堂さんだけ記憶がそのままなの? オルフェノクだから!?

また一人ぼっちになっちゃった海堂さんかわいそす(・_・、)

ちなみに『仮面ライダー大戦』にもたっくん出てたけど、あのたっくんは……なかったことに?

『ライダー大戦』でも「死者への未練が地下帝国と現世を繋げてしまった」とか言ってるから、あのたっくんも実は「死者の世界」側だったりしたのかしらん(うん、わかってます、お祭り映画に辻褄を求めてはいけない)。

『555』ファン(特に海堂さんファン)は嬉しいと思うし、こういう時間ものが好きな人、単純にもっと剛ちゃんが見たい人にも楽しい作品だと思います。

「飛行機乗りの仮面ライダーだって!面白そう!」と思って見た人には……ごめんなさいだよね(笑)。