珍しいマンガ家さん同士の合作、そして『テルマエ・ロマエ』と同じく古代ローマが舞台ということで興味を惹かれ、買ってしまいました。

『テルマエ』は映画は見たけど原作を読んだことはなく、とり・みきさんもお名前は昔からよく存じ上げているもののちゃんと作品を読んだことはありませんでした。

読んだことはないもののギャグ漫画のイメージがあったとりさんとヤマザキさんの合作!?ってどんな雰囲気の絵になるのかまったく想像できなかったのですが。

基本的には人物がヤマザキさんで、背景がとりさん。

背景、すごいです。

びっくりしました。

美術の才能が全然ないので技術的なことはわかりませんが、細かいし綺麗だし、「これ描くの何時間かかるんだろう」みたいな。

セリフなしで港町の様子が描かれてるところとか、映画みたい。

収録されているお二人の対談で「合作に至った経緯」や「合作のやりかた」が語られていますが、とりさんの「特技監督」という話にはなるほどと思わされます。

主役のプリニウスは

博物学者にして、艦隊の司令長官。古代ローマ一の知識人にして、風呂好きの変人。その男の名はプリニウス

と帯に紹介されています。

『博物誌』を書き残した人。


この『博物誌』、西洋では古典中の古典として知られ、後世の知識人に大いに影響を与えたそうです。

全然知らない(汗)。

1巻はヴェスヴィオ火山の噴火から始まり、少し時間を遡って、口頭記述係のエウクレスがどんなふうにプリニウスと出会ったか、プリニウスがどれだけ変人か(笑)、そして時の皇帝ネロの様子が描かれます。

バンバン雷が鳴って怖がる部下を「教養を避ける者は人間のクズだぞ!」と一喝し、エウクレス相手に雷に関する考察を披露するプリニウス。

「どんな風に死のうが運命というものはしょせんそんなものなのだ… 死ぬ時は死ぬ!」

いや、格好いいおっさんですよほんま。

あの皇帝ネロに「至急ローマへ戻れ!」って命令されてものらりくらり……。やっとネロと顔を合わせたところで1巻おしまい。

ううむ、続きが気になるぞ。暴君として名高いネロがどんな風に描かれるのか。すでにこの1巻でも母の亡霊に苦しむ姿が描かれていて、ただの悪人じゃない「人間ネロ」と変人プリニウスとの絡みが楽しみです。

プリニウス関連の本も読んでみたくなりました。上で紹介した『博物誌』は図書館にもないみたいなので、澁澤龍彦の『私のプリニウス』あたり。


「日本人による日本人のためのプリニウス入門」と銘打たれたこの本(↓)も気になりますが図書館にない。


ともあれ2巻が楽しみです。