4月にリリースされていたVシネマ『仮面ライダーWリターンズ』第1弾『仮面ライダーアクセル』、遅ればせながら観ました。

もっと早く観たかったんだけど、いつ行っても「貸し出し中」で……。ええ、すいませんね、買わなくて(笑)。

その名の通り、風都の2号ライダー・アクセルを主役にしたスピンオフ。アクセルや「中の人」である照井竜くんが特に好きだったわけでもないので、1回目観た時は「なるほどねー」という感じで、「それなりに面白かった」くらいだったんだけど。

2回3回と観るうちにだんだんとツボにはまってきて。

って、いや、その、まず「本編」を観るでしょ。それで特典でついてる「メイキング」を観るでしょ。70分くらいの本編に対して、40分くらいの充実したメイキングがついていて、それを観ると「ほぉほぉなるほど、あそこはこんなふうに撮ってたのか」とか監督さん達の工夫・こだわりがわかって、もう一度「本編」を観てみたくなるんですよ。

そんで「本編」にも「普通のバージョン」と、「監督さん達のコメンタリーバージョン」と二つあってですね。

映像は本編そのままで、そこに「このシーンはどーのこーの」という監督さん達の「おしゃべり」がずーっとかぶっているバージョン。

これがまた、予想以上に面白い(笑)。

「お話の作り方」とか「見せ方」とか、すごい勉強になるし(爆)。

何よりすごく楽しんで作らはったんやなー、というのが伝わってきて、なんていうんだろ、もちろん「売る」ことも意識してはるんやろうけど、それ以上に「自分達が作りたいもの、面白いと思うものを作りたい」という情熱が。

ええなー、おもろいなー、と頬が緩んでしまうのですよ。

そうやってたっぷり「こだわり」を吸収した後、また「本編・普通バージョン」を観ると大変楽しい。

いや、あの、借りてきた日に私と息子ちゃんで観て、旦那さんが別の日に観てたんだけど、映ってるとついつい一緒に観ちゃうじゃないですかー。これがまた面白いんだよ、もう話全部わかってるのに。

続けてメイキングももう1回観てしまった…。何回観んねん!(笑)

「仮面ライダー」として、と言うより、「B級刑事アクション物」としてとてもよくできてると思う。

何しろ竜くんの生身のアクションがすごい! 美女と手錠で繋がれたままのアクションとか、お店の中での大立ち回りとか。

監督の坂本さんがアクション出身の方で、ご自身で竜くんにアクションつけてる姿がメイキングに入ってるんだけど、それがホントにすごくて。

動きが違う。

竜くん役の木之本くんも空手初段らしいし、フルコンタクトですごくがんばってるんだけど、監督さんの動きのキレはレベルが違う。

さすがっすなー。いやー、監督さん主役のアクション映画見たいよ(笑)。

監督さんのこだわりで入ったという刃野刑事(なだぎ武さん)の「ジャッキー・アクション」もすごい楽しい! なだぎさんもすごいよねー。そりゃNGも出してるだろうけど、現場で「こんな感じ」って言われてちゃんとできちゃうってすごいよ。

監督コメンタリーで「Mr.BOOの広川太一郎風に」とか言われると「あああ!」ってさらにツボだし。

ジャッキー、Mr.BOO、そして松田優作。

刃野さんアクションのところは同世代として超ウケます。子どもにはどれもわからへんやろけど(笑)。

Vシネマならでは、なんでしょうねー。電王トリロジーみたいに「劇場版」でなくVシネマなのは大人狙いというか、やっぱりその辺「好きにやれる」ような。

お色気っぽいシーンもあるし、生身の派手なアクションが「子どもには暴力的すぎるんじゃないか?」という意見もあるみたい(Amazonレビュー参照)。

「変身後」よりも生身のドラマ部分に重きを置いて作られているので、幼稚園以下の子どもには確かにつまらないかも。

小学生以上でちゃんと「物語」が理解できるなら、あの程度のお色気や暴力は全然無問題だろうと私は思うけど。

だって、私小学生で『太陽にほえろ!』見てたもん。刑事物なら当然人は殺されてるし、それなりにアクション=暴力あるし、ヤクザ屋さんとか麻薬とか色っぽいお姉さんとか出てくるもんねー。

今回のお話は竜くんが誤解から犯人扱いされて追われたり、「正義の味方」ゆえにその家族が危険な目に遭うことと「信念」との葛藤、「犯罪者」を殲滅することが「正義」ではない、という実に「ベタ」な刑事物のテーマが描かれていて、『太陽にほえろ!』で育った私にはほんまツボなんよなー。

そこに「復讐」から始まった竜くんの「正義」の成長ぶり、再び「家族」を手にしたのに、また奪われてしまうかもしれない、自分が「ヒーロー=仮面ライダー」であるゆえに、っていうのが絡んで。

いやー、ええやんええやん。大好きよ、そーゆーの。

1回目に観た時に無条件に拍手できなかったのは亜樹子と竜くんのラブラブ新婚っぷりがうっとうしかっただけで(笑)、「お話」としては実に好みなのよねー。

考えてみれば結婚したライダーなんて史上初でしょ。

竜くんが亜樹子のどこに惚れたのかは今もってさっぱりわからへんねんけど(笑)。

TVシリーズの時から亜樹子の騒がしいキャラクター、あんまり好きじゃないんだよなー。まぁ監督さん達がおっしゃってる通り、「あそこまでやってそれでもイヤミにならないひかるちゃんはすごい」は確かに思うけど。

亜樹子のぶっとびすぎを除けば、竜くんが彼女を「所長」と呼び続けたり、彼女の髪をくしゃっとしたりするのはこれまたツボなんだ。

髪をくしゃっとする感じに頭を撫でる、というのは「運命のガイアメモリ」の時に坂本監督がアイディア出されたそうなんだけど。

なんか世代のようなものを感じる(笑)。

『太陽にほえろ!』で育って『あぶない刑事』で青春を過ごした私にとって、かっこいい刑事さんに「おまえは俺が守る」と髪をくしゃっとしてもらうなんて憧れ中の憧れよ。ちくしょう、亜樹子め!(爆)。

そんなわけでライダーファンよりむしろ一昔前の刑事アクション物ファンに受けそうな作品なのですが。

ちゃんとライダーのアクションも魅せてくれます。

アクセルは新形態もあるし、出番は少ないながらWも活躍。

Wってやっぱりデザインがすっきりしていかにも「仮面ライダー」なフォルムで、美しいよね。フィリップと翔太郎くんの二人が出て来ると「待ってました!」って気になるし。

マジシャン白銀父娘も再登場、りりぃ脚長い~~~。

そして。

重要な役で田中実さんが出てらっしゃる。

この作品の発売日が4月21日で、田中さんが亡くなられたのが4月25日。

撮影は昨年の11月下旬に行われたようなので(メイキングで木之本君のお誕生日11月22日サプライズが出て来る)、別に遺作というわけでもないだろうけど、メイキングでの爽やかで穏やかな笑顔、監督さん達の「こんな爽やかでいい人が現実にいるのか、ってくらい爽やかで」というべた褒めなコメンタリー、そしてもちろんお芝居もとても素敵で。

どうして死んじゃったの……と。

ホントにこう、田中さんのお芝居が物語の「軸」になっているし、哀しい役でもあるだけに……見ていて非常にせつない。

改めてご冥福をお祈りいたします。


さぁて、返却期限までにもう1回見るかな(爆)。

でもホント、「ライダー」というファンタジーの枠組みがあるおかげで「ベタ」な部分が「くさく」なったり「陳腐」になったりせず、上出来のアクションエンターテインメントになってると思います。

7月発売の『仮面ライダーエターナル』も「NEVERのスピンオフならいつでも作れる」とかつて監督が豪語していましたから。

楽しみでございます♪