※以下ネタバレあります!これからご覧になる方はご注意下さい!!!

この間の金曜日、10月15日、新歌舞伎座の昼公演『眠狂四郎無頼控』を観てまいりました♪ (リカバリ騒ぎで感想が遅くなった…もう1週間経っちゃったじゃないか…)

やっと、やっと観られましたよー。もうチケット申し込んだの一体いつ? 去年だよね? お金だってとっくの昔に払ったよね?

「来年のことを言うと鬼が笑う」と言うのに、お金だけ先払わされてるんだもん。もし熱出したり不測の事態が起きて行けなかったどうしてくれたんだろうね、ホントに(笑)。

それだけ待って待って待ち焦がれたGACKTさんの眠狂四郎……なのに。

他のキャストばっかり注目してた気がする、私(笑)。

だって備前屋与兵衛、綿引勝彦さんだよ! 綿引さんったら、『鬼平』の五郎蔵さんだよっ!!!

綿引さんのあの渋い魅力的な声を生で拝聴できるなんてー。もうそれだけで嬉しい(笑)。

生の舞台でももちろんものすごくうまいし。

いやー、もう、さすがすぎる。

備前屋の綿引さんと土方(時の老中の側用人でいわゆる“悪いお殿様”な役)の堤大二郎さんの二人のシーンで始まるんだけど、お二人ともいきなりうまくてねぇ。

堤大二郎だって最初気づかなかったくらい。

私にとって堤大二郎といえば「燃えてパッション」でレッツゴーヤングな往年のアイドルだからさ……。「すごいなー、こんないい役者になったのか」って感心しきり。

「悪いお殿様」のアニメみたいな笑い声がものすごくうまくて、ちょっとコミカルで、いい味出してる。

狂四郎の良き理解者である武部のお殿様は田中健さん。田中健さんもまだ「青年」だった時をよくよく知っているのだ。でもだいぶ年輩のお殿様の役なのだ。そしてそれがまためちゃめちゃうまいのだ。

ああ、みんないい役者さんになったなぁ(しみじみ)。

狂四郎と「真剣勝負」をすることに文字通り命を賭ける剣士・三雲迅雷には嶋田久作さん。その風貌からこーゆーちょっとエキセントリックな怪人的な役はお手の物なのでしょうが。

鬼気迫る見事な怪演。

いやぁ、ほんと、スピーカーがついてけないぐらいの裂帛の気合いでしたもの。

迅雷がしっかりしててくれないと、狂四郎の「さらにすごい剣」というのが活きないものねぇ。

「剣を極める」ということにおいては狂気に堕ちているけれど、決して根っからの悪人ではない、というところもにじみ出ていたし。

一緒に観劇した母が「この人いい役やったねぇ」と。

「いい役」にするもしないも役者さん次第ですわ。

お笑い担当の談亭役古本さんは「Vanilla」まで歌ってくれるサービス精神、文字若の有森也美さんも安心して見ていられた(でも南野ちゃんの文字若見てみたかった)。

うん、ほんとにいいキャスト揃ってたわ。時代劇だけに脇がしっかりしてないとすごくさぶいことになっちゃうもんね。

……えーっと、それで肝心のGACKTさんは?(笑)

GAKCTさんが麗しくカッコいいのは別にわざわざ記述するほどのことじゃないじゃないですかー(爆)。

でもなんか気恥ずかしかった。

初めてGACKTさんを生で観る母が隣にいることもあって、「お願い、その恥ずかしい出方やめて!」みたいな(笑)。

舞台なのに映像が多用されてて、オープニングがあったり、クレジットタイトルがあったり、回想映像があったりするんだけど、それがなんかこっぱずかしいんだよ……。

途中「刺さった棘を抜いて手当してやる」ってシーンがあるんだけど、「どんなすごい棘刺したんだよ、え!なげぇだろっ!!」って感じで。

見てるのが恥ずかしい……。

母親いなくて一人で観てたらもう少し違ったのかもしれないけど、まるで初めて彼氏を親に紹介するような気分で(笑)。

もともと眠狂四郎というキャラクターはあんまりしゃべらないし、セリフはそんなに多くない。そのたたずまいと、圧倒的な殺陣が見せ場。

殺陣はホントにすごかった。

GACKTさん、右足包帯見えてたけど、きっとあちこち大変だと思う。

あれを2回公演、しかも3日連続とかかなりとんでもないスケジュールだよね。宝塚よりこき使われてるんじゃ。

お話的にはほぼ原作通りなんじゃないかと…いや、違うか。原作ではお兄ちゃんさっさと死んでたっけ? だいぶ前に読んだので細かいところはあんまり覚えてないけど。

狂四郎の出自と黒ミサの話は原作通りで、映像でやられると改めてグロい設定だなぁ、と思ったわ。そこ、もうちょっとさらっと飛ばしてくれていいです、って感じ。

さっきも言ったけど、GACKTさんのVISUALIVEを彷彿とさせる映像の多さで、私としてはちょっと「使いすぎ」だと思いました。

あった方がわかりやすかったり、膨らみが出るところもあると思うけど、「こっぱずかしいだけだからやめて!」って思っちゃうところもあったし、なんていうか、せっかく「舞台」で、生身の人間が客席で見てる人間と同じ時間と空間を共有して、物語を紡いでいるのに、そこにぽんと「別の場所・時間に作られた代物」が出てくると、かえって「現実に引き戻される」感じがする。

いくらカナメさん(涼風真世)が好きでも、『ベルばら』の舞台で「馬に乗って駆けるオスカル様(しかも主題歌歌いまくり)」映像流れると「やめてー、恥ずかしい!」って思うのと一緒で。

宝塚ってテレビで見ると化粧も濃いし、苦手な人は「何これ」って思うでしょう。基本「映像」で見るものじゃないと思うのよね。「舞台」ならではの「嘘」っていうものだと思うの。

舞台上の役者さんとの一体感の中で酔うもの。

クレジットタイトルの映像もよく出来てたんだけど、でも最後はやっぱり生身の役者さん本人に拍手を送りたいし…。映像と一緒に本人も出てきてくれたら良かったのになぁ。

「現実に引き戻さない。狂四郎の世界のまま帰ってもらう」というGACKTさんの狙いはわかるけど、「そういう狙いなんだろーなー」と思ってしまうところがもう「酔ってない」わけで。

別に素で出てこなくていいから、映像と一緒に舞台上を歩いて行くだけでもいいから、本人達に拍手を送りたかったなぁ。

千秋楽だけはカーテンコールしたらしいけど……千秋楽に行ける人なんて限られてるじゃないの。

 

「初☆生GACKT」の母は。

「GACKT、きれいすぎやなぁ」って言ってた。私も母も「眠狂四郎=市川雷蔵」のイメージが強烈すぎるし、やっぱりGACKTさんだけ「異世界の人」っぽいところがあって、なんかこう、落ち着かない感じがしたのではないかしら。

全体としては「眠狂四郎無頼控」なんだけど、GACKTさんはやっぱり「GACKT」みたいな……。

キャラクターがあまりにもハマりすぎて、「GACKT無頼控」だよね、っていうか(笑)。

『MOON CHILD』の時はかなり意外な役だったでしょう。少なくともテレビで見られる顔とはずいぶん違うイメージの役だったから、「へぇ!」っていう新鮮な驚きがあって、「役者もできるんだ」って感心したけど、眠狂四郎は「そのまま」だから……。

「そのままで眠狂四郎」っていうのがもちろんGACKTさんのとんでもないとこではあるんだけども。そしてもちろん実際には「そのまま」ではなくて、GACKTさんは眠狂四郎に「なっている」のだろうけれど。

なんかべらんめぇで喧嘩っ早い必殺仕事人とか見たいよね。ちょっとコミカルな感じもある役。

「え?GACKTってこんなのもできるの!?」ってみんなが驚くようなのをやってほしいなぁ。

あと、母は「やっぱりライブに行ってみたい」と。

だいぶ前から言ってるんだけど、残念ながら日程が合わず。まだ実現してないのよねぇ。

「どんな歌歌うん?」って聞かれたんだけど、そういえばまだCD聞かせたことなかった。私としたことが。

終演後、年配のご婦人方が「一番新しいのはどれなの?」って感じで『EVER』をお買い上げになってたんだけど、家に帰って聞いてどーゆー印象を持たれるのかなぁ。「かっこいい♪」とますますファンになってくださるのかしら。

あの眠狂四郎がどんな歌歌うのか、知らないと想像つかないよね……。

私、宝塚フリークだから、途中で「ここで歌!…はないよな」とか思っちゃったんだけど(笑)。ミュージカルもやってみてほしいよなぁ。

盆回しやセリ、花道、銀橋。

いつも「舞台」と言えば当たり前にあるそれらがないので、特に前半第1幕は少しタルく感じられる部分も。こう、セット転換とかの「間」が長かったり、場面と場面のつなぎの部分が……。逆に「そうか、宝塚はよく考えてるんだな」と改めて思ったりとか。

スピーカーの音割れも気になったし。

下手(しもて)でちょうどスピーカーが目の前ぐらいにあったせいもあるけど、オープニングとかボリュームでかすぎ、しかも音割れで聞き苦しかった。

生演奏じゃないしなー。

舞台の上にでんとスピーカーが積んであるのって、美しくないよね。もともとの新歌舞伎座の音響設備ってどうなってるんだろう。あんなにでーんと積まないとダメだったんだろうか。

 

ともあれ。

この後名古屋、福岡、札幌、広島、仙台、東京とまだまだ狂四郎の過酷な旅は続きます。GACKTさんのことだからまたどんどんと舞台も進化していくのでしょう。

どうぞ怪我のないように。

そしてぜひ次はミュージカルで『必殺仕事人』を!(笑)