1巻には「4月発売予定」と書いてあった第2巻。先月やっと発売になりました。

近所の本屋に置いてなかったので、仕方なくAmazonさんにお願い。『やじきた』新刊と抱き合わせ注文していたのですが、ハラール・ハウゴーさんのCDと一緒に送られてきました。

少しでも早くお手元に。こーゆーところ、Amazonさんすごいですね。届くのはまだ先と思っていただけに、嬉しかった♪

登場人物の顔見せ・序章という感じだった1巻から、だんだんと物語が動き始めて、もうドキドキしながら頁を繰りました。1巻の感想にも書いたけど、トロイア戦争の顛末、そしてアマゾーン国の行く末はわかってるわけじゃないですか。アマゾーン国のヒロイン、ペンテシレイアやアルティモラに感情移入すればするほど、「彼女たちを待ち受ける運命」が怖ろしくて、哀しくて……。

「歴史上ではここで死んじゃうけど、実は生き延びてました」とかにならないかなぁ、と今から。

まだ全然そんなとこには行ってなくて、トロイア戦争の発端、パリスによるヘレネーの略奪さえもまだこれから。

ああ、これから戦争が起こるのね。馬鹿なパリス。でもそれも神々の思し召し、策略だったりはするし、人の子たるパリスはいいように利用されただけではあるのか。

2巻では、「次期女王候補」として外交修行の旅に出たペンテシレイアがトロイアでパリスに出逢ったり、スキューロスで女装したアキレウスと出逢ったり。

「女だけの国」で純粋培養されたアマゾーンの乙女達を途惑わせる「男」という存在。そしてまた、男達の非道・暴力から逃れてアマゾーンに助けを求めてくる女達の姿しか知らないペンテシレイア達には、他国の女達が向ける憐れみのような視線が理解できない。

「女の幸せを知らない」という憐れみ。

「女だけで生きる」という「不自然」に対する、同じ「女」からの侮蔑。

アマゾーン国が本当に存在したのか、伝説だけなのかはわからないけど、「男の従属物」であることをやめ、「女だけでもやっていける」を実証しようとする女達がいた(あるいは想像された)っていうのは、けっこうすごいことだよね。

美しく賢く、そして強いアマゾーン達。男に負けぬ武芸の腕。武芸以上に必要な、外交の腕。

もちろんそこにはやっぱり、一つの性だけで生きる「不自然」、「無理」もあるのだけど。

アルティモラがそのことを実感するシーンがあったり、「女だけの政府」であろうと、「男だけの政府」であろうと変わらない、権力争いや「既得権益にしがみつく者」が描かれたり。

いや、なんか、ホント読んでるとドキドキしちゃう。

「月に従う12人の戦士」の面々も徐々に明らかにされてきて、そのうちの一人ヒッポトエーが見た目も性格もキタさんっぽくて(『やじきた学園道中記』のキャラ)うぷぷ。

ああ、本当に、歴史なんか無視して幸せな結末を迎えてくれればいいのに。「歴史」と言ってもほとんど「神話」の世界、「伝説」に近いものなんだから、たとえ国は滅んでも、ペンテシレイア達一人一人には「その後」があってもいいよね。

まぁ、誇り高い彼女たちが、「その後」を生きたいと思うかどうかわからないし、ただ生き延びるだけが「幸せ」でもないだろうけれど。

巫女としての力がいよいよ本格的に開花し、誰が「12人の戦士」なのかもわかってしまうアルティモラ。運命を「ただ知るだけ、何もできない」。ある意味もっとも哀しい運命を背負っているかもしれないな。

大好きな人々が悲劇に絡め取られていくことを知りながら、「ただ知るだけ」なんて。

どんなに力を尽くしても運命が変わらないなら、なぜ神は巫女に――人にそれを知らせるのだろう。希望の芽を摘み取るようなことをするのだろう。

たとえばトロイアの王女カッサンドラの予言の能力は「呪い」であり、彼女が何を言っても他の者は聞く耳を持たない。

でももし彼女の予言が信じられていたとしても――彼女の警告に従いパリスを排除していたとしても。

それで運命は変わるんだろうか?

神はいくつもの分岐点を――いくつもの未来を用意してくれているんだろうか。

どの道を通っても、最後に辿りつく場所は同じではないのか……?

それでも、己の信じた道を行くしかない私たち。


3巻は11月発売予定。ああ、ドキドキするなぁ。

それまでにまだ読んだことのなかった『イリアス』や『トロイア戦記』を読んでおかなくっちゃ。