ベストセラーにはなるべく手を出さないようにしている私(笑)なのですが、この『日本人の知らない日本語』は本当に面白いし、すごく勉強にもなるので、第2弾が出ているのを書店で見かけて迷わずレジに持っていきました。

いやー、2冊目も面白かった!

息子ちゃんのスイミングの付き添いの時に観覧席で読んでたんだけど、くすくすくすくす笑ってたので、かなり怪しい人に見えたと思う(笑)。しかも風邪&花粉症でマスクもしてたし(爆)。

日本語学校の教師である凪子先生が、外国人の生徒さんから色々びっくりするような質問をぶつけられ、日本語や日本文化に対して凪子先生自身も理解が深くなっていく。

日頃、日本人であるがゆえに「あたりまえだ」と思っていること。なんとなく感覚ではわかっているけど、いざ「○○と××の違いは何?」と訊かれると、自分でもどう使い分けているのかはっきり説明できなかったりする。

「時々」と「たまに」ではどっちが頻度が高いのか、とか。

「失礼極まる」と「失礼極まりない」ではどっちがより失礼なのかとか。

「スッパ抜く」の「スッパ」とはどういう意味かとか、「青」という言葉の表す範囲の広さ。

「へぇー」と勉強になることが多いのに、笑いどころも多くて、まさに「楽しくってためになる」。

何より凪子先生の愛情が感じられるのよねぇ。

最後のあとがきのところに、作画担当の蛇蔵さんが凪子先生のエピソードを書いてらっしゃるんだけど、ホントに素敵な先生だなーって思う。

日本語教師って、「はっきりいって儲かる仕事ではありません」(作中より)という話だけど、外国の方に言葉だけでなく日本の文化をも紹介するすごく大切な役割を担ってると思うんだよね。

凪子先生のいらっしゃる日本語学校はビジネスで日本に来てる人とか、アニメ好きが高じて日本に興味を持ち…って感じの、言ってみれば裕福な生徒さんが多いのかな、と思うけど、そうやって日本や日本語に関心を持って学ぼうとしてくれる方の、「その後の意欲」も先生次第で左右されるわけじゃない?

日常生活で出逢う日本人の態度が「彼らが持つ日本の印象」を左右するのはもちろんだけど、「案内役」として、日本語教師の力量・態度・性格って、すごい重要だと思う。

日本は「グローバル化するためには小学校から英語を!」って感じで、かつては「漢字をやめて全部ローマ字にしよう」という議論があったりもしたし、「こっちが向こうを学ばなきゃ!」って意識は強いんだけど、こっちの持っているものを「広めよう」「学んでもらおう」って意識は低い気がする。

そういうのって、「国家戦略」として考えるべきことだろうと思うんだけど。


……楽しい本なのに堅苦しい話になった(^^;)。


凪子先生もいいんだけど、出て来る生徒さんもみんな楽しくて♪ どこまでが実話なのか、どれくらい脚色が入っているのかわからないけど、私は「高倉健好きなセレブなおフランスマダム」のマリーさんと、「すでに日本語検定1級に受かっているのにまだまだ勉強したくて学校に通ってくる」イギリス人のジャックさんがお気に入り。

「畳化したと思うとき」っていう一枚絵のコーナーがまた楽しい。

「畳化(tatamiserタタミゼ)」って、「フランス語の新語。外国人の日本化を指す」らしいんだけど、ホントにフランス語にあるの!? フランスでは日本のアニメやマンガがかなり流行っているらしいけど、そういう人達のことを指すのかしら。

「こんなに“日本化”してくれてるんだー」って嬉しくなるこのコーナー。皆さん、日本に馴染んでくれてありがとう(*^_^*)


あと。

1冊目でも「日本人の友達に宿題をやってもらったらかえってボロボロだった」というエピソードがあって、今回も外国人の生徒さんが「バイト先の日本人に敬語の使い方を教えて、と言われた」というエピソード。

しかも凪子先生のアドバイスに従い、「尊敬と受身の形は同じ」と教えたら、「受身って何?」と訊かれたと…。

日本人、日本語大丈夫か……。

ホントに「小学生から英語」より、「小学生から“日本語”」やらないと! 「国語」じゃなくて「日本語」にした方がいいんじゃないかな。「道徳(のような国語)」とは分けて。

敬語とか動詞の活用とか、「時々」と「たまに」の使い分けとか、日本語学校の教え方の方が、日本人にもわかりやすい。


一度凪子先生の授業を受けてみたいなぁ。

第3弾もぜひ出してほしい♪