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『機動戦士ガンダムUC』第8巻/福井晴敏
やっと読み終わりました、『機動戦士ガンダムUC』8巻。これって4月に出たんだっけかな。ちゃんとすぐ購入したんだけど、なかなかひもとく気にならなくて後回しにしてる間に9巻・10巻が出て完結しちゃった。
あらら。
なんだろ。なんか、読み始めれば確かに面白いんだけど、読み始めるのを躊躇する要素があるんだなぁ。
最初の何巻かは大丈夫だったんだけど、途中から。
読むのがしんどい部分がある。
主人公のバナージとミネバにあんまり感情移入できないせいかな。
“若さ”もあるけど、あの二人はどっちも「いいとこのお坊ちゃん、お嬢ちゃん」なんだよね。バナージは小さい頃に父親のもとを離れて苦労して育ってるけど、でも「実はいいとこの子」。
ミネバはもちろん、ザビ家のお姫様だしね。
「家」という宿命を背負うのはそりゃ大変だろうけど、平凡な一般市民としては「結局世界はそーゆー人達が動かすわけ?」ってつい僻んでしまうところもある。
考えたらシャアだってそうでしょ。
この巻で「シャアの再来」フル・フロンタルの正体が暴かれるんだけど、シャアもまた「お坊ちゃん」なんだよね。
「ジオン・ダイクンの遺児」という宿命が、彼の人生を支配している。「坊やだからさ」と言い放った彼自身、「家」の呪縛から逃れられないという意味で「坊や」なんじゃないのかな。
なんか、ノーブリス・オブリージュというか、そういう変な使命感みたいなものがうっとうしい。うじうじリディ君もそうやしなぁ。
「家」に押しつぶされてうじうじしているリディ君やバナージの異母兄アルベルトの方が、むしろ共感できたりもするけど。
なんか、その弱さ、愚かさこそが“人間”なんよね、って。
主人公二人より、周りで右往左往するおじさん達の話の方がよほど面白いんだ。オールドタイプを自認する、不器用で頑固で、でもだからこそ“人間”として共感できるおじさん達。
今回、ネオ・ジオンとは別の、ジオン共和国の共和国軍というのが出てきたんだけど、そこに所属してるおじさんの考えを読んでると「これって日本とアメリカの関係なわけ?」と思えて、なんかくすぐったかった。
「敗戦国の歴史は、一夜にして軍国主義からの転向を迫られた記憶ともども」
とか、
「独立戦争は悪と断罪され、なんの総括もなされずに戦争放棄の憲章が定められた結果は、国全体に魂の空白がもたらされたのみ」
とか。
ああ……って、思うでしょ。
ジオン共和国は、もとはジオン公国だった。公国……皇国。
うーん、そうだったのか。
やっぱり深いな、『ガンダム』。
そういうものを『ガンダム』として読みたいのかどうかは微妙なところなんだけど。
残り2冊。どーゆー結末が待っているのか。
……また次ひもとくのに、なんか覚悟がいるんだよなぁ。『ローマ人の物語』の方を読みたい……。
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