学校で、「コンパスを用意してください」と言われた時、最初は新しく買うつもりはなかった。家にあるものでいいや、と思ったからである。
私の机の引き出しにはいっぱいがらくたが入っているが、その中にコンパスがあるのも覚えていたので、息子に見せて「これでいいよね?」と一応確認を取ろうと出してみたら、なんとそれは「阪急ブレーブスこども会」と銘打たれた、大変に貴重な代物だったのである。



自分がコンパスを引き出しに入れていることは覚えていたが、それが「どんなコンパスか」はさっぱり覚えていなかったので、びっくりしてしまった。
びっくりして、「やっぱりこれは学校へ持っていってなくされたり壊されたりしたらもったいないな」と考え直し、スーパーで新しいコンパスを買うことにしたのだ。

だって、「阪急ブレーブスこども会」ですよ、あなた。
もはや「阪急ブレーブス」という球団があったことを知っている人の方が少ないのではないか、という「幻の球団」の、「こども会」の、貴重な形見ですもの。

阪急ブレーブスというのはパ・リーグの球団であった。
50年以上の歴史があったが、昭和の終わりだか平成の始めだかの頃にオリックスに売られ、「オリックスブレーブス」→「オリックス・ブルーウェーブ」となった後、近鉄バファローズと合併して「オリックスバファローズ」になった。
同時期に同じく身売りされた「南海ホークス」が今でも「ホークス」の名だけは残っているのと違って、もはや影も形もなくなってしまった哀れな球団である(涙)。

私はその、幻の球団の「こども会」にずっと入っていて、毎年入会記念の品物を色々ともらっていたわけだが、その一つがこのコンパスであったらしい。
コンパスなんかもらって当時嬉しかったのかどうかは不明(笑)。既に学校用に自分のコンパスを持っていたので、このコンパスはおそらくほとんど使っていないと思う。

コンパスって、学校の算数の授業以外で、そうそう使うものじゃないもんね。
まぁ「使うものじゃなかった」からこそ、こうしてなくなったり壊れたりせずに現在まで残っているとも言えるのだけど、一体コンパスを景品にしようと思った「こども会」の思惑というのはいかに?
野球のボールが丸いからか?
子ども達に「円の神秘」を感じてほしいと考えた関係者がいたのだろうか(笑)。

ちなみにもう一つ、我が家に現存する「こども会」の景品。


こちらは普通のカバン。
これも未使用かな?
私と弟と、二人で入会していたので、たぶん同じものが二つあって、片方が使われないまま実家に保存されていたのをもらい受けた。
やっぱりもったいなくて使えません(笑)。

このマスコットキャラはブレービーというのだ。
かつては阪急電車の構内の売店も「ブレービーショップ」と言ったのだった。

そういえば「ブレーブス好きやねん会」という女性オンリーのファンクラブのTシャツも1枚新品で持っている。
こーゆーものが貴重品になってしまったのは、往年のブレーブスファンとしては非常に寂しい話である。

嗚呼。