息子の辞書。
さっき、本屋に行って買ってきた。
小学生向けの物も見て、「中学生から」のも見て、大人用のも見た結果、なぜか息子が選んだのは旺文社の国語辞典。
帯に「類書中最多の82,000語収録」と書いてあったのに惹かれたらしい。語数が多い奴が欲しかったそうだ。

学校へ持っていくのに軽い方がいいというので、小型版を買ったが非常に字が小さい。読めるのかなぁ。
いや、その前に絵もほとんどなくてつまんないんだけど、ホントにちゃんと使うのかね、君。
今もせっかくの新しい辞書をほったらかしてマンガ(『名探偵コナン』)読み耽ってるし。
しょうがない、私が使ってやろう。

本屋で選ぶ時、同じ言葉を色んな辞書で引き比べてみた。
非常に面白い。
最近息子が「○○はどーゆー意味?」と聞いてきた言葉を調べてみた。
1:「大臣のポスト」という時の「ポスト」
2:「アドリブ」
3:「おめでたい人」という時の「おめでたい」
4:「弾道ミサイル」

1は、どれを引いても「地位」「職場」とかであまり面白くない。しかし「ポスト」の近くにある「ホスト」には辞書によって違いが出る。「ホスト」が載ってない辞書もあった。
旺文社では「①パーティーなどで、招く側の男主人。②(女性用のクラブなどで)接客する男性。」
新明解も大体同じだけど、①の意義では「男」とは載っていなくて、「主人」「主催者」。例文で「ホストファミリー」が載っている。確かに「男」とは限らんか。
②の意義は「女性客の相手をする男性」。
そして③に「ホストコンピューター」が載っていた。

2:「アドリブ」
旺文社の方が意味は詳しく載っている。
「台本にない思いつきのセリフや演技。また、譜面にない即興の演奏」
新明解は「即興のセリフや演奏」と素っ気ないが、「ラテン語で「随意に」の意」という語源が載っている。

3:「おめでたい人」
こーゆー言葉はやはり新明解の面目躍如である。
旺文社では「(反語的に)お人よしである。間が抜けたところがある」だが、新明解は長い。
「意味」としては載っていなくて、「運用」として載っているのだが、曰く。
「当人は意味があると思って大まじめにやっていることを、はたから見てばかげたことだと、皮肉・からかいの気持を込めて用いることもある。また、自分のしたことを自嘲しても用いられる。例、「あやしげな事業に財産をつぎ込むなんておめでたいかぎりだ」」

あやしげな事業ってどんなん?とツッコミを入れたくなる。
さすが新解さんだ。

最後、「弾道ミサイル」
旺文社では「弾道弾」として「ロケットで高高度に打ち上げ、目標に落下させるミサイル」とある。
新明解は「弾道」しか載っていない。
新解さんは人情の機微には強いが、科学技術方面は弱いのかなぁ、とも思うが一方で「巡航ミサイル」には詳しい。
旺文社にも「高い精度で誘導可能な、ジェット推進の有翼ミサイル」と記述があるが、新解さんの方は
「目標に至る間、一定高度を一定の速度で、超低空飛行や迂回飛行の出来るミサイル。命中精度が高く、レーダーでとらえにくい」

いや、科学技術にも通じていらっしゃるんですね、新解さん。これはどーもおみそれしました。
ちなみに「おみそれ」という語は
「思っていたよりもすぐれているのに驚いて、ほめる気持を表わす言葉(by新解さん)」である。

ついでにもう一つ、「あやかし」。
本屋で息子が調べた言葉。
「結界師」では妖怪を指す「あやかし」。これって辞書には載っているのか?
小学生用の辞書には載っていなかったと思う。
新明解には「航海中の船に取りついて、難破させたり動かなくさせたりするという、原因不明のもの」と書いてある。
へ〜、そうなんや〜。

しかし旺文社では「航海中の妖怪(?)」の意義の他にも、「②不思議なこと。③能楽で、男の亡霊・怨霊などに用いる面」という意義が載っていて、新解さんの負け。
いや、別に勝ち負けじゃないですが。

辞書の引き比べはホントに楽しいのだった。