昨日、久しぶりに宝塚に行ってきた。
たぶん半年ぶり。
だんだん好きなスターさんがいなくなって、
この前何を見たかもうろ覚えになってきた。
さびしい〜。

前回も花組、今回も花組。
花組トップの春野寿美礼さん
だけが、今私を宝塚まで連れて行くスターさん
なのだけれど。

正直、今回の演目『落陽のパレルモ』は
今一つだった。
春野さんの役も中途半端で、魅力が全く
生かされていない。ああ、もったいない

19世紀シチリアを舞台にした、コスプレ
全開、非常にクラシカルな「宝塚の王道」
を行くロマンス。
「身分違いの恋」なんて言葉、久しぶりに
聞いたわ〜。男役の軍服姿はかっこいいけど、
あまりに「歯の浮く」セリフのオンパレード。
もう少し「今どき」な見せ方があるんじゃ
ないでしょうか。

主役の春野さんが平民で、相手役が貴族の
跡取り娘で、「身分違いの許されない愛」
になるんだけど、結局最後は「実はお父さん
が貴族」な春野さんは、無事貴族の仲間入り
をしてめでたくヒロインと結ばれる。

安易だ。
安易すぎる。

「誰もが平等に暮らせる世界を作るため」
に戦っていたあんたが、「実は貴族でした」
でハッピーエンドじゃ意味ないやん。
自分の力で女を勝ち取れよ。

その点、同時進行で描かれる大戦前夜の
ひ孫の話(愛した女性がユダヤ人だった
ので、地位も家柄も捨ててアメリカに
亡命する)の方が感動的だったりする。

途中、ヒロインの妹を誘拐して、ちょこ
っと心を通わせてすぐ殺されちゃうゲリラ
のエピソードとか。

来年はまた『ベルばら』やるらしいけど、
新しい話が書けないから『ベルばら』に
頼ってるとしか思えない。
そんなしょっちゅう再演してたら値打ち
なくなるよなぁ。

ショー『Asian Winds』も、なんというかな〜。
胡弓の響きとか、アジアの音楽は好き
だけど、やっぱり花組でそれをやるのは
もったいないような気がする。
「ダンスの花組」と言われていたのは
昔の話かもしれないけど、アンニュイで
都会的な春野さんの魅力を全く生かせてない。

中詰め、服部良一メドレーだもんなぁ。
宝塚で「青い山脈」聞かされても

「蘇州夜曲」や「東京ブギウギ」はともかく、
メドレーにする必要はないでしょ?
作曲家の怠慢ちゃうん。

ラストの津軽三味線を取り入れた
ボレロはなかなか面白かったけど、
(黒燕尾の男役の大階段)
もう一回見たいと思わせるものは
何もなかった。

感動できないのは、決して宝塚にかける
私の熱意が薄れただけじゃないと思う
んだけどな〜。

いつの間にかSS席なんてのができて、
なんと料金1万円
最低でも3500円!
私が学生の頃は最低が800円(遊園地入園料
を合わせても1500円程度)だったから、
何度も見る、が可能だったけど、
これじゃ若い子は見に来れないよね。

衛星で専用チャンネルを作ってから、
NHK-BSでの劇場中継もなくなって、
普通の人が宝塚のステージを目にする
機会はほとんどなくなってしまった。

新たなファンを獲得しないで、
どうやってこの先やっていくつもり
なんだろう?
こんな心配、歌劇団には大きなお世話
なのかしらん。